銀齢の果て
以前、創作家(詩とか挿絵とか童話とか絵画とかやってるのでこうとしかいえない)志望で、老人介護施設で働いている友人と友人連中相手に『老人介護施設を題材にしたパニック物小説書いてよ』と言うネタで笑いを取った事がある。物んの凄く気に入ってるアイデアで、少しネタを膨らませていつか何かの形で他の連中にも伝えようと思っていた。要介護老人たちが繰り広げるアレなパニックと愛と友情を軸に、これから迫り来る高齢化社会の問題点を鋭くえぐるみたいな。
そしたら、筒井康孝に綺麗ーに同じような事をやられてしまった。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/01/20
- メディア: 単行本
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70歳以上の老人は社会のお荷物だから、国が指示して殺し合わせて口減らしすると言うシナリオ。一言で言うと老人版バトルロワイヤル。
ハードボイルドぽい老人・気弱でひたすら逃げ惑う(そして虐殺される)老人・夫婦で刺し違える老人・マッドサイエンティスト風の老人・元自衛官・女優・農夫・金持ち・貧乏人など様々な老人たちが、グラップラー刃牙の達人達の様に、街を舞台に死闘とドラマを繰り広げると言う、もう、うわーと言うしかないシロモノ。冒頭にはご丁寧に、老人の住所入りの町内マップ付き。ネタ被ったのは悔しいけど、被った相手が筒井康孝なら本望。しかもこれだけキッチリ仕上げてあればなおさら。
一気に半分読んだところで、面白くて勿体無いので止めてある。けど、ネタだけで既にご飯三杯はいけるし、途中の老人達の死闘や様々な生き様(死に様)だけでキッチリ楽しめるので「オチがアレだから駄作でしたー」って事はありえないのでご紹介。
筒井康孝なので当然だけど、非常に読みやすくサクサク読み進められるので、土日のDVDレンタル代わりにお勧め。これ、小林よしのりか板垣恵介か藤子不二雄の安孫子の方に漫画化して貰えないかなあ。あ、若い所で平野耕太でも良いなあ。勢いなら三家本礼も良いな。(妄想)
# ただ、筒井康孝と言うと、もっともっとこうザラッとした冗談が得意だった気もしないでもないけど、これは自分がトシ食ったせいか筒井康孝のせいか。
冗談通じない人が居るといけないので断っておくと、筒井康孝と同じく、高齢化社会における老人の扱いは深刻に考えてますよ。