デジドカ現場での作業への動機について

通常の作業現場での正社員中心の場合、出世欲含む今後の社内での位置取りなり愛社精神なりが動機になって作業や作業の改善が進んだりしていく。これが派遣ベースの IT 現場では上手く働かない。

派遣中心のIT現場の場合、どれだけやっても自社の評価には結びつかない。何故かと言うと、派遣(作業請負とは敢えて言わない)の場合、自社作業では無いためどれだけ現場に貢献しても、所詮出先であるためマトモな評価なんてのはありえないからだ。

色々と努力をしている会社でも、微妙に離れた作業的位置の同じ自社のちょっと年上なだけのメンバー一人が雰囲気で評価してたり、単身で派遣してる場合は実作業をしらない客先の採用担当の適当な評価だったり、少なくとも細かな意欲の発露によるプラスアルファの働きは評価されないし、下手すれば通常作業の内容すら評価されない。会社としての売上は月額あるいは時間で決まる訳で、それ以外はぶっちゃけどうでも良いと言う会社も多いだろう。

いやいや現場で活躍すれば客先での評価が上がるし、それが自社に伝わるもんだと言う人もいる(主に自社の営業とか)が、結局は派遣なんて商売してる会社が評価するのは「短期的にどれだけ金になるか」でしかなく、活躍すればホイホイと単金上げてくれるようなイージーな現場だったらまだしも、先まで使う人材でもないのに早々単価なんざ上げやしない訳で。

そのため、怒られない程度に作業をこなしてさっさと帰る。上が馬鹿な事してても自分は知らん振り。プロジェクトとして失敗しようが成功しようがどうでも良い、そう言うスタイルで仕事をする人が増える。カネの分だけ仕事はしたぜと。傭兵ライクでニヒルで格好良いですね。

話の外の人

月の稼働時間の最低ラインが 220時間以上で詳細設計以降のみの作業の人(多くの人が当てはまると思うけど)の場合は、冒頭の傭兵スタイルで良いと思う。荒れ狂う社会の波から自分の身を守るのは当然の権利。悪いのは IT 業界のゼネコン構造だし、ベンダーだしメーカーだし客先の営業・SE・プロマネ・チームリーダー達なんだから。とっとと作業を終えて次の現場に行こう。わざとポカして送り返されても OK。

ここでの話は、運良く中長期の案件で、かつ稼働時間が安定した現場の話。実行しても良いけどあまり無理しないで、体に気をつけて無事帰ってきて下さい。

改善したいですよね?

雇う側としては、冒頭の傭兵スタイルだと困る。また、本当は作業者の方も不幸なんじゃ無いかと思う。自分も、周りの皆も。
ただ、生来働くのが好きな人ばかりでは無い中、将来・評価、どちらも無い状態で、どうやって動機を持ってくるか。これはもう、楽しさしか無いんじゃないだろうか。職場っつーコミュニティが好きになれば、自然とそこにコミットしたくなるのが人情な訳で。

なにが必要か

楽しいと思える事なんてきっと山ほどある。

技術者の職場なら、話題のユニークなワークフロー、社内 Wiki やら社内ブログやらメッセンジャーやらの話題のコミュニケーションツール、ざっくばらんなミーティング、ナイス開発ツール群、ナイス技術、あくまでも納期より品質を求める姿勢などなど。

その他だと、飲み会、皆で外食、スポーツやゲームなどのレクリエーションや趣味のサークル活動でも良いし柔軟な物品購入だったりカジュアルデーだったりコーヒーサーバー導入だったり冷蔵庫だったり皆で机の上に食玩並べてみたり…

やり方も対象も山ほど腐るほどあると思う。この辺はもうはてなとか Google の社内の話とかでおなか一杯だろうと思うし、考えれば考えるほどネタなんかあるハズだから割愛。

キモ

自分が重要と思うのは、必要だと思ったら『いやでもそれは職場でやるのはどうなんだろう』と思った事でもやってしまう事、やらせてしまうこと。その無茶苦茶感がイイ。

上で述べた様々なモノ・やり方なども、お仕着せで与えられるだけでは『偉い人が言うから出来る事』でしかなく、『自分の好きな事』が出来る事にはならない。逆に冷笑されるのがオチだと思う。これを変える方法『無茶苦茶感』付きのやり方かなと。職場の潜在的な芸人さんたちに「あ、下ネタOKなんだ」と思って頂く為にはその位の勢いでやらないと駄目だと思う。

# でもやっぱり理想は無茶苦茶する担当は偉い人ではなく下の人から出す必要があるんだけど。
# で、上の人はそれを容認しちゃうって言うパターン。

いずれにせよ、『無茶や楽しい事も良いけど、やっぱり重要な所はシメないとね』なんて言ってるようじゃ駄目。全っ然駄目。ヘルシングの例のコピペの"戦争"の部分を"無茶苦茶"に置き換えて音読する位の勢いが居るハズ。誰にだって社会人としての常識ってのと、現場の事情ってのががある訳で、ソレを打ち破るには。
google:参考:諸君 私は戦争が好きだ

必要だと思った事や、面白いと思った事は無茶でもやる。やっちゃう。

でも無理かも

んなこと出来るのベンチャー企業の社長だけと思う無かれ。

プロパーの人は会社その物を変革していくのも良いし、せめて派遣さんたちが隔離されるコロニーを作る方向で地道にやっていけばいいと思う。時間は腐るほどある訳でしょう?(実際大抵年食って腐ってくのはお見通しだ)

んで、派遣としてはそんな恵まれた現場ばっかりでもない訳で、んな無茶苦茶したら帰されちまうよ…と思う所だと思う。んでも、どーーせ派遣ベースの会社なんか、人月での売上しか考えちゃ居ない訳で、次の面接でブリッコしてホイホイ案件決まっちまえばどーって事もなくその内そんな失敗も忘れられる事と思う。何しろ派遣ベースの会社で一番困る人間ってのは、面接してもしても中々決まらない穀潰ししか無い訳で。偶に帰されて来ても面接さえスムーズなら大丈夫大丈夫。誰でも時々はある事だし。

それでも踏ん切りがつかない人も居るだろうけど、大体そもそも派遣ベースの会社なんて、歳食って人月単価が高くなりすぎて取って貰えなくなって仕事干されるか給料上げ止まるか、本社付けの管理職と言う名の営業になって中小企業の薄給のまま奴隷商人するか二択な訳で。ヘタすりゃミックスでやらされるからね、使い古しの技術でしかもウリになる程のレベルでもなく、若いのと一緒にヘコヘコ仕事して自社部下と二人っきりになったら俺様は課長だとかテラワロス

んなのに固執する位なら面白い事経験して今後に生かしましょうよと。

結論:派遣プログラマの働く動機は捨て身の無茶苦茶だけ
# また捻じ曲がった

補足

これ書いてて、職場では「stakiさんは危険」みたいな事を言われて居るものの、やっぱり全然足りてないなと思った。実績から言えば、まだまだこれを言う資格は無いかもしれない。

蛇足

結論はちょっと実装依存なエントリになったけど、楽しくないと駄目ってのはもう十代の頃から考えてた事なので、最近はてなとかGoogleとかで話題になってるのをみてちょっと悔しい。できてないけど俺だって考えてたんだーとかそう言うエントリ。
でもそうはいってもトム・デマルコには完敗だなとか思ってる三十路前。
この辺の比較をおこがましいとか思ったら多分無茶できない。